小テスト
解答例+サンプル答案(最新)
<6>科学否定論者への対応策
解答例
問1:科学の根拠となる反証可能性を使い、どういった証拠があったら自分の間違いを認めるのか問いかける。「そんな証拠はない」と応答するなら間違う可能性が最初からありえない仮説を信じていることになる。「こういう証拠があれば,間違いを認めよう」と応答してくるならその証拠を突き付ける。これが理詰めの対応だ。だが、この問いにまともに答えなかったり、むきになっていることが疑わしい証拠と上げ足を取られる可能性が高い。
問2:自分と親しい非専門家への意見への依存,トラウマによる思い込み,特定のコミュニティへの帰属意識、SNS上の閉鎖的な交流などは私たちにも経験はある。だがこれが行き過ぎると科学否定論や陰謀論に結びつくという。何らかのきっかけで芽生えた科学への疑問がこうしたものへの過剰な信頼につながる危険が常にある。
問3:それぞれの考え方を広く社会に考えてもらう方向で説得する。仲間内で陰謀論を語るのでなくデータをそろえて論証していこう。科学は反証可能性を持ち絶対正しいものではない。科学否定論者の言説が絶対間違っているとも言えない。基本的にはデータをもとに目の前の事実をどう解釈するかだ。データの真偽とその解釈を提示して、多くの人々に考えてもらえばよい。自分はそのように考えているので、あなたも自分の意見とデータを広く問いかけて欲しい。ただし、どちらかの主張に従って人々に大きなリスクが生じたらお互いに考え直そうと言う。
サンプル答案(ChatGPT)
問1:理詰めの対応策とは、科学否定論者に対して反証可能性や論理的な反論を提示することを指します。限界としては、科学否定論者は理性的な議論を受け入れず、自らの信念を頑なに守ろうとするため、論理的な反論が効果を持たない点が挙げられます。さらに、理屈で説得を試みることが逆に疑念を深めさせ、科学否定論者の信念を強化する結果となることもあります。このため、理詰めの対応策だけでは十分な解決策になり得ないのです。
問2:科学否定論者の信念の萌芽は、私たち全員が持つ証拠や理屈を一時的に棚上げして自分や身近な人を信じる心情にあります。この心情が極端に発展することで、科学否定論に至ることがあるため、誰もがその潜在的な素地を持っていると言えます。
問3:科学否定論者に対して、理屈で反論するだけではなく、彼らの背景や感情に寄り添い、対話を通じて理解と共感を示すことが重要だと思います。科学を否定する信念の背後には、深い不安やトラウマ、強い帰属意識がある場合が多いので、まずはその心情を理解する姿勢を持つべきです。信頼できる人物として話を聞き、彼らの視点や疑問に真摯に向き合うことで、少しずつ科学的な視点に目を向けさせることができるでしょう。このような対話を通じて、科学否定論者の信念を揺るがし、科学に対する理解を深める道を探ることが求められます。
<8>遺伝子診断
解答例
DTC遺伝子検査のメリットは、確定的ではないが自分の体の弱いところや疾患の可能性などがわかり、生活習慣などで予防的配慮ができるところである。また、体の不調と照らし合わせて心配なら医師に相談して、早期の対応が可能なことだ。つまり保健・予防の自己管理に役立つ。デメリットとしては、まだ確定できない情報をうのみにして、素人判断で誤った対処をしてしまったり、不安に悩まされることだろう。
単一遺伝子疾患の発症前診断は既に可能になっており、米国の女優のように家族性乳がんの発症確率が高いことが分かり、乳腺細胞の全摘で予防を行った例もある。DTC検査でも、医師との相談によって確定的診断に至って予防や治療のできる場合は有効性は高い。ただし、DTC検査はあくまで体質の傾向や病気の発症可能性の大雑把な把握なので、それだけをうのみにせず、必ず信頼できる医師や医療機関に相談することが必要だ。
また、体質や予防・治療のできる疾患についての検査なら良いが、アルツハイマーなどのまだ予防・治療の難しい病気で、生活にかなり大きなダメージがおよぶ疾患の場合、その可能性があるという結果が出ればどうすればよいのか。以前テレビのドキュメンタリー番組で若年性アルツハイマーの発症前診断を受けて、苦しみ続ける男性が定期的カウンセリングと家族によって支えられて生活している様子を見たことがある。発症しても人生が失われるわけではないが、やはりおびえ、苦しむ姿は観ているのが辛かった。
DTC検査によって何をなんのために調べるのか、また検査によって何がどのくらい分かるのか、事前にこうしたことを良く調べ、考えて利用するならよいが、課題文にあるような他人に安易にプレゼントするようなものではない。発症前診断などでも事前カウンセリングは不可欠である。まずはかかりつけ医に相談したうえで利用するのが最善だろう。
<1>情報を伝える
設問1
日本の子どもたちには宗教や民族、土地をめぐる争いは身近でなく、パレスチナ問題は経緯を知らなければ理解しにくい。模型を使った説明では実感がわかず、ただ仲が悪い者同士のケンカとしか感じられなかったからである。
設問2
筆者はテレビでニュースを伝えている。テレビは映像媒体ではあるが基本的に「音声メディア」なので説明は言葉になる。なぜなら映像などを使えば悲惨なイメージが多少は伝わるが、それだけでは出来事の意味や背景などは理解できない。そこを分かるように伝えるのは言葉でしかない。だからこそ言葉にこだわっているのだ。
設問3
子どもに正確な情報を伝えるには、子どもが分かる言葉でなければならない。そのためには子どもの言葉理解の範囲と、どこまでの説明が必要かを知ることが大切だと筆者はいう。「相手の気持ちを損なわない」ためには、相手の価値観や心情を考えながら言葉を選ばなければならない。つまり伝える相手のことを十分に知らなければならないのだが、常に相手のことを知っているわけではない。ではどうするか。そのためにはただ一方的に話すのではなく、常に理解を問い返し、そのことについての相手の思いを聴きながら対話を進めることが大切だろう。
<4>認知症の人の困難や苦しみ
解答例
私たちが人間・他者を理解するのは幼児のころだ。親や周囲からの働きかけによってそこに自分とは違う他者が存在するのを認識してゆく。やがて自分に反応して、欲求を満たしてくれることが分かると、そのように反応する相手を識別するようになり、そこから相互の意識的コミュニケーションが始り、物との判然とした区別が生まれると考えられる。
だとすると、人と物の区別ができなくなるのはコミュニケーションが失われていくことから始まるのではないか。相手への働きかけと応答が十分に認識できなくなり、やがて、そこに存在するものの役割的機能が識別できなくなる。そして自分のいる世界への対応が取れなくなっていくのだろう。それは瞬時に生じるわけではなく徐々に進行する。特に初期では症状が断続的に生じるので、それに気づいた時の絶望感は大きいだろう。その過程で周囲の理解がないと相手にされなくなり孤立を深め、プライドも傷つけられる。
認知症への理解がないと患者を孤立させ、どう生きていいかを分からなくさせる。認知機能やコミュニケーションが失われるといっても全くなくなるわけではない。その人の中ではその人独自の世界があり、そこを生きている。78歳の女性が18歳の自分を生きていることもあるという。それがその人の現実なので、その認識にそって共に生きることが孤立を防ぐ。認知症について理解を深め、共に生きる柔軟性が社会には求められるだろう。
サンプル答案(Gemini)
私たちは、五感(視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚)からの情報や、過去の経験、学習を通して、人や物を区別している。視覚では、人の形や動き、表情、物体の形状や色などを認識し、聴覚では、人の声や物の音、触覚では、肌の質感や温度、硬さなどを感知する。これらの情報を総合的に判断し、それが人なのか物なのかを判断している。また、過去の経験から、人は動くことができ、感情を持ち、言葉を話すといった特徴があることを学習しており、これらの特徴に基づいて人であると認識している。
長崎さんのように、人と物を区別できなくなると、日常生活に様々な困難が生じる。例えば、人とのコミュニケーションがうまくいかず、孤立感や孤独感を抱くことがある。また、身の回りの物を適切に扱えなくなり、事故や怪我につながる可能性も高まる。さらに、自分の状態を理解できず、不安や混乱を感じ、精神的な苦痛を伴うこともある。
認知症は、高齢化社会の進展とともに増加傾向にある。しかし、認知症に対する理解は十分とは言えず、社会全体で認知症の人々が安心して暮らせる環境が整っているとは言えない。認知症の人々が抱える困難や苦しみは、社会の構造や価値観、医療や介護サービスの提供体制など、様々な要因が複雑に絡み合って生じていると考えられる。
長崎さんのように、人と物を区別できなくなることは、本人にとって大きな苦しみであり、周囲の人々にとっても対応が難しい状況である。認知症の人々が安心して暮らせる社会を実現するためには、私たち一人ひとりが認知症について正しく理解し、共生できる社会を築くことが重要だ。
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