MMI問題集
MMI面接試験を以下のように整理しました。いずれのタイプも問いに対する回答を起点に、受験生と面接官との「やりとり」が展開されます。
A:ケーススタディ
トレードオフを含むシチュエーションを設定し、自身の考えや行動を述べさせます。他人事ではなく自分事として思考・口述するのがポイントです。
B:図表
一枚の図表を提示し、わかったことと考えたことを述べさせます。fact(課題発見)とopinion(課題探求)とを整理して、思考・口述するのがポイントです。
C:論点整理
複数の論点を含むテーマを出題し、それぞれに対応した答えを述べさせます。テーマに関わる複眼的な理解・考察を通じて、思考・口述するのがポイントです。
D:サプライズ
特定のパターンがない想定外の問題を提示し、自由に述べる・振る舞うことが求められます。想定外に対して柔軟に考え、演じることがポイントです。
以上の概説だけではリアリティがないと思うので、以下にサンプル問題を掲載します。また、AIを活用した想定問答を生成しました。これらを合わせて読むことで、MMIの感じはつかめると思います。
A:ケーススタディ
テーマ:高齢患者の自動車免許の返納
面接官:「あなたは医師として、90代の患者に自動車免許の返納を促す場面に直面しています。その患者は長年自動車を運転しており、免許の返納を拒んでいます。どのように声を掛けますか?」
受験生:「まず最初に、患者さんの立場を理解し、その感情に寄り添うことが重要だと思います。長年運転していたことが生活の一部となっているので、免許を返納することに対して不安や抵抗があることは理解できます。ですので、最初にその気持ちに共感を示しながら話を進めます。例えば、『運転を続けることが生活の一部であったこと、そしてそのことを手放すことは大変なことだと思います。私もその気持ちを理解します』というふうに伝えます。」
面接官:「共感は大切ですね。しかし、患者さんが運転を続けることで安全に問題が生じる可能性がある場合、どうやってその点を伝えますか?」
受験生:「その点については、医学的な根拠に基づいて冷静に説明する必要があります。たとえば、『年齢とともに反応速度が低下したり、視力や判断力にも変化があることがよくあります。最近の検査結果や体調の変化を考えると、運転中に急な体調不良が起きる可能性もあり、それが事故に繋がるリスクを避けるために、免許の返納を考えることも安全のために重要だと思います』という形で、患者さんに対してリスクを具体的に説明します。」
面接官:「リスクを説明することは大切ですが、患者さんがまだ返納を受け入れられない場合、どのようにサポートしますか?」
受験生:「返納を受け入れることが難しい場合、無理に押し付けるのではなく、患者さんに選択肢を提供し、最終的には患者さん自身が納得して決断できるようにサポートすることが大切だと思います。例えば、公共交通機関の利用や、タクシーサービスなどの代替手段を紹介し、日常生活に支障が出ないようにサポートすることができます。また、返納を先延ばしにしても構わないので、『今後何か不安があれば、再度相談に乗るので、いつでも声をかけてください』という形で、継続的に支援できる姿勢を示します。」
面接官:「患者さんが免許を返納する決断をするまで、どのように患者さんとの信頼関係を築いていきますか?」
受験生:「信頼関係の構築には、患者さんとの対話を大切にし、患者さんが自分のペースで決断できるように支援する姿勢が必要だと思います。患者さんにとっては、大きな決断であり、恐れや不安が伴うことです。そのため、少しずつでも安心感を持ってもらえるように、『ご自身のペースで考えていただいて構いません』と伝え、徐々に不安を解消できるようにサポートします。定期的にフォローアップし、進展があれば共に考え、支えることが信頼関係の形成に繋がると考えています。」
うーん...もっと深めたいなあと考えた面接官は、もっと突っ込んで質問を展開することにしました。
1. 患者さんが他の家族の意見を無視している場合
面接官:「患者さんは自分の免許の返納を拒んでいるだけでなく、家族の意見にも耳を傾けようとしません。この場合、どう対処しますか?」
受験生:「家族が心配している点も重要な要素ですので、その意見を尊重しつつ、患者さんにどう伝えるかが重要です。まず、家族との意見交換を行い、患者さんに対して家族がどのように感じているのかを共有し、家族の思いも理解してもらうことが大切です。ただし、最終的には患者さんが自分で決断するべきであることも伝えます。『ご家族が心配していることは理解しますが、最終的に決めるのはあなたです。私はあなたが納得できるようにサポートしたいと思っています』という形で、患者さんの自主性を尊重しつつ、家族の気持ちも伝えるようにします。」
2. 患者さんが運転を続ける理由を感情的に訴える場合
面接官:「患者さんが『運転をやめることができない、運転が生きがいだ』と感情的に訴えてきた場合、どう対応しますか?」
受験生:「患者さんにとって運転が生きがいであり、それを手放すことが辛いという感情は理解できます。そのため、まずその気持ちに寄り添い、『長年の習慣であり、それが大切な役割を果たしていたことを理解しています』と共感を示すことが大事だと思います。その上で、『運転を続けることが心の支えであることを尊重しながら、他に安全で快適な方法があれば、それを試してみることも選択肢の一つです。何かご自身が納得できる方法を一緒に考えていければと思います』という形で、患者さんが運転を続けることに対する感情に配慮しつつ、代替案を提案していきます。」
3. 患者さんが返納を決意するまで時間がかかる場合
面接官:「もし患者さんが免許の返納を決意するまで時間がかかる場合、どのようにその過程をサポートしますか?」
受験生:「免許の返納は一度決めると決断が大きいため、すぐに受け入れられないことは理解しています。そのため、短期間での決断を迫るのではなく、時間をかけて話し合い、患者さんが納得できるペースでサポートしていきます。『無理に決断を急がせるつもりはありません。少しずつ考えを整理していただき、最終的にご自身で納得のいく判断ができるようにサポートしたいと思います』という姿勢を示し、次回のフォローアップや相談の機会を設けることで、時間をかけてサポートし続けます。」
4. 患者さんが「若い頃と変わらない」と主張する場合
面接官:「患者さんが『若い頃と変わらないから、まだ運転できる』と主張している場合、どうアプローチしますか?」
受験生:「患者さんが『変わらない』と感じていることには、本人の自信や誇りがあるかもしれません。しかし、医学的な事実として、年齢とともに身体的な変化があることを冷静に伝える必要があります。『ご自身がまだ運転できると感じていることは理解していますが、年齢によって反応速度や判断力に変化があることも事実です。医学的に見ても、その変化が運転中に影響を及ぼす可能性があるため、安全を第一に考える必要があります』という形で、年齢に伴うリスクについて具体的に説明し、感情的にならずに理性的に話すことが大切です。」
5. 患者さんが「運転しないと家にこもってしまう」と訴える場合
面接官:「患者さんが『運転しないと家にこもってしまう』と言って、返納を拒んでいます。この場合、どう対応しますか?」
受験生:「患者さんが運転をしないと社会的なつながりや日常生活が制限されることを心配しているのは理解できます。そのため、代替案を提供して患者さんの生活の質を維持できるようにサポートすることが重要です。『運転をしないことで孤立するのではないかという不安があることも理解します。それに対処するために、公共交通機関や地域の送迎サービスを利用する方法も考えられます。また、近隣での交流の機会や趣味の活動を増やすことも、新たな楽しみを見つける一つの方法です』という形で、患者さんが積極的に外に出る手段を提案し、生活の質を保つ方法を一緒に考えていきます。」
※上記の「やりとり」は一例でしかありません。他にどのような内容の問答があるのか?自分のアタマで考えてみましょう。
B:図表

<想定問答>
面接官:
このグラフは、日本とアメリカの1980年から2022年までの平均寿命の推移を比較しています。まず、このグラフから何が読み取れるか、そしてそれについて考えたことを教えてください。
受験生:
このグラフからは、日本とアメリカの平均寿命における大きな違いが見て取れます。1980年ごろ、両国の平均寿命はほぼ同じであったものの、1990年代以降、日本の平均寿命は着実に増加していき、アメリカとの差が開いていったことがわかります。特に、アメリカの平均寿命は2020年ごろに減少しています。この減少は、おそらく新型コロナウイルスの影響や、アメリカにおける肥満や生活習慣病が関係していると考えます。
面接官:
なるほど、アメリカの平均寿命の減少については、確かに新型コロナウイルスが影響した部分が大きいですね。では、アメリカが直面している健康問題について、どのような背景や要因があると考えますか?
受験生:
アメリカの平均寿命が減少した背景には、いくつかの要因があると思います。まず、アメリカでは肥満や生活習慣病の問題が深刻で、これが健康に大きな影響を与えていると考えます。アメリカの食文化には、高カロリーのファストフードが多く、これが生活習慣病を助長しています。また、医療制度が完全に公的なものではなく、医療アクセスに格差があることも問題だと思います。特に低所得者層やマイノリティグループは、必要な医療を受けることが難しく、その結果として健康が損なわれ、寿命に影響を与えているのではないでしょうか。
面接官:
確かに、アメリカの医療制度や社会的格差が影響している点は重要ですね。では、反対に日本の寿命が長く、順調に伸びている理由は何だと考えますか?
受験生:
日本では、医療制度が公的で充実していることが大きな要因だと思います。国民全員が保険に加入し、医療へのアクセスが平等に提供されているため、疾病の早期発見や治療が可能です。また、日本の食文化は比較的健康的で、野菜中心の食事や魚を多く摂取することが、長寿を促進しているのではないかと考えます。さらに、日本の高齢者が元気で活動的なことが、健康寿命の延伸にも寄与していると思います。
面接官:
その通りですね。日本の医療制度や生活習慣が良い影響を与えていることは間違いありません。では、もしあなたが日本の医療政策に携わる立場だった場合、今後どのような対策を講じるべきだと考えますか?
受験生:
もし私が医療政策に携わる立場であれば、まずは高齢者向けの医療や介護サービスをさらに充実させるべきだと思います。日本は高齢化が進んでおり、これからますます高齢者の医療ニーズが高まるはずです。高齢者が自立した生活を送れるよう、予防医療の推進や生活習慣の改善が重要だと思います。また、地域医療の強化にも力を入れ、医師が地域ごとに密接に連携し、住民の健康を守るシステムを作ることが重要だと考えます。
面接官:
良い提案ですね。地域医療の強化は、特に地域格差を解消するために重要な課題です。では、アメリカが直面している健康格差に対して、日本はどのように貢献できると思いますか?
受験生:
日本は、アメリカの医療格差に対して、いくつかの点で貢献できると思います。例えば、医療アクセスの平等化や予防医療の充実を、アメリカにも導入できるかもしれません。日本のような公的医療保険制度を導入することで、医療を受けやすくし、健康格差を縮小できるかもしれません。また、日本の健康意識や食文化を広めることも、アメリカの健康問題解決に役立つと思います。
面接官:
確かに、日本の医療システムや文化が他国にとって参考になる部分は多いです。最後に、このグラフを見て、私たちが日常生活の中で心がけるべき健康習慣について、何かアドバイスはありますか?
受験生:
健康を維持するためには、まず規則正しい生活を心がけることが大切だと思います。食事はバランスよく摂取し、運動を取り入れ、十分な睡眠を確保することが基本です。また、定期的な健康チェックを受けることも重要で、早期に病気を発見し、予防できることが長寿に繋がります。ストレス管理も健康に大きな影響を与えるので、リラックスする時間を持つことも心がけたいですね。
面接官:
ありがとうございます。非常に良い回答でした。日本やアメリカの平均寿命の推移から、健康に関する多くの示唆を得ることができました。面接は以上です。
※上記の「やりとり」は一例でしかありません。他にどのような内容の問答があるのか?自分のアタマで考えてみましょう。
C:論点整理
設問:医療現場におけるDEI(多様性・公平性・包摂性)の事例をあげてください。(東北大学医学部医学科)
小作文:設問に対する回答の概要を以下のように記します。事例だけでなく、DEIという論点と関連づけて整理・表現することが、MMIの事前準備として必要です。
1. 多様な文化的背景に配慮した医療提供
事例: 病院で多言語対応の医療通訳を導入し、言語が異なる患者にも適切な診療を提供する。例えば、英語、スペイン語、中国語、アラビア語などの通訳を用意し、患者が言語の壁を感じることなく医療を受けられるようにする。
2. LGBTQ+患者への包括的な医療ケア
事例: LGBTQ+患者のための専門外来を設置し、ホルモン療法やカウンセリングなどを提供する。また、病院のシステムで患者の希望する性別や名前を尊重し、記録に反映する。
3. 障害者へのアクセシビリティ向上
事例: 車椅子利用者のためにバリアフリー設計の診療所を設置し、点字標識や手話通訳を導入。また、聴覚障害者向けにビデオリレーサービスを利用可能にする。
4. 女性医師のキャリア支援
事例: 女性医師の働きやすさを重視した制度の導入。例えば、産休・育休の取得を推進し、復職後の時短勤務や院内保育所を提供する。
5. 公平な治療アクセスのためのスライディングスケール料金制度
事例: 経済的に困難な患者にも医療サービスを提供するため、所得に応じた料金設定を行うクリニックの運営。
6. 患者満足度調査に基づく改善
事例: 定期的に患者満足度調査を実施し、多様な背景を持つ患者からのフィードバックを分析。例えば、特定の人種や性別、年齢層の患者が感じる不公平感を特定し、改善策を講じる。
想定問答:上記から任意に選んだテーマ・内容についてMMIが展開されます。
面接官:医療現場でLGBTQ+患者への包括的なケアを提供することの意義について、どう考えますか?
受験生:LGBTQ+患者への包括的なケアは、性の多様性を尊重し、全ての患者が平等に医療サービスを受けられる環境を整えるために重要です。性的指向や性自認に対する偏見や誤解が、適切な医療アクセスの妨げとなることがあるため、それを解消する取り組みが必要だと考えます。
面接官:具体的に、医療現場ではどのような取り組みが考えられますか?
受験生:例えば、患者が自身の性自認に基づいて名前や性別を選択できるシステムの導入が挙げられます。また、医療従事者がLGBTQ+の健康課題に関する教育を受け、適切なケアを提供できるようにすることも重要です。さらに、LGBTQ+専用の外来を設けることで、安心して医療を受けられる場所を提供できます。
面接官:そのようなシステムの導入には課題もあるかもしれません。どのような問題が考えられますか?
受験生:一つは、医療従事者の理解不足や無意識の偏見です。これに対しては、研修や教育プログラムを通じて意識を高める必要があります。また、コストやリソースの問題もあるため、制度の導入には十分な計画と資金の確保が求められます。最後に、患者のプライバシー保護にも細心の注意を払う必要があります。
面接官:プライバシー保護についてもう少し詳しく説明してください。
受験生:LGBTQ+患者の性自認や性的指向に関する情報は、非常に個人的なものであり、漏洩が大きな心理的ストレスや社会的な不利益を引き起こす可能性があります。そのため、電子カルテなどの記録管理システムでは、情報へのアクセスを厳密に制限し、患者の同意なく情報を共有しないことが重要です。また、医療スタッフ同士の情報共有においても、患者のプライバシーを最大限に尊重する文化を築くことが求められます。
面接官:なるほど、よく理解できました。最後に、このような取り組みが将来の医療にどのような影響を与えると考えますか?
受験生:LGBTQ+患者への包括的なケアが進むことで、医療の公平性が高まり、全ての患者が安心して治療を受けられるようになります。結果として、医療機関への信頼が向上し、早期受診や適切な治療の促進につながると考えます。さらに、多様性を受け入れる文化が医療現場で広がることで、医療従事者間の連携や患者とのコミュニケーションもより円滑になると思います。
※上記の「やりとり」は一例でしかありません。他にどのような内容の問答があるのか?自分のアタマで考えてみましょう。
D:サプライズ
設問:ホワイトボードに上半分に◯を3つ、下半分に四角を3つ描いてください。次に丸には好きな単語、四角には好きな漢字を書いてください。それらを題材にMMIを進めていきます。
サンプル回答
1セット目
好きな単語:「挑戦」
理由:挑戦は自分の人生を象徴する言葉です。困難に立ち向かうことで成長してきた経験が多く、将来医師として新たな課題に向き合う際にも、この姿勢を大切にしたいと思います。
好きな漢字:「絆」
理由:医療は患者さんやその家族との信頼関係が基盤です。この漢字を選んだのは、地域医療で患者さんと深い絆を築くことが重要だと考えているからです。
2セット目
好きな単語:「希望」
理由:医師は患者さんに希望を与える存在であるべきだと思います。たとえ困難な状況でも、前向きに未来を切り開く力を提供したいという思いから、この言葉を選びました。
好きな漢字:「命」
理由:医師として「命」に向き合う責任感と尊さを常に忘れずに行動したいと思っています。この漢字は、自分の将来の姿勢を象徴するものです。
3セット目
好きな単語:「感謝」
理由:医療は多くの人の支えによって成り立っています。患者さんだけでなく、家族やチームの協力に感謝の気持ちを忘れずに働きたいという思いがあります。
好きな漢字:「誠」
理由:医療現場では誠実さが求められます。患者さんや同僚に対して真摯に向き合い、自分の行動に責任を持つという心構えを表現するためにこの漢字を選びました。
問答の概要
面接官:「それぞれのセットに共通するテーマがあるように見えますが、何か意識したことはありますか?」
受験生:「はい、私が医師を目指す理由に関係しています。それは、患者さんに寄り添い、共に未来を描く医療を提供したいという思いです。そのため、単語と漢字の選び方には『前向きな姿勢』『患者との信頼』『自分の責任』という三つの軸を反映させました。」
面接官:「たとえば、『希望』という単語を選んだ理由は素晴らしいですが、絶望的な状況にある患者さんにどう希望を示しますか?」
受験生:「絶望的な状況でも、患者さんにとって前向きに取り組める目標を一緒に探すことが大切だと思います。例えば、完治が難しい病気でも、日常生活を少しでも快適に過ごせる方法を提案することが希望につながると考えます。」
面接官:「『誠』という漢字についてですが、医師として誠実さを示すには具体的にどのような行動が求められると思いますか?」
受験生:「誠実さとは、患者さんに対してわかりやすい説明を行い、治療の選択肢をすべて提示することだと思います。また、わからないことがあればその場しのぎの答えをせず、しっかり調査して最善の判断を示すことが重要です。」
面接官:「『挑戦』と『感謝』は一見対照的に見えますが、これらがどのように医師としての姿勢に結びつくのか教えてください。」
受験生:「挑戦することで困難な課題を解決し、感謝することで人や環境に対する謙虚な姿勢を持ち続けることができます。この両方が揃うことで、より良い医療を提供できる医師になれると考えています。」
一問一答ではMMIらしくないので、もっと深掘りをしてみました。
面接官:「『挑戦』を選んだ理由はわかりました。ただ、医療現場では挑戦が必ずしも成功するとは限りません。失敗した場合、その責任をどう受け止めますか?」
受験生:「医療現場での失敗は患者さんの健康に直結するため、とても重い責任を伴います。そのため、最初からリスクを最小化する準備を徹底することが重要だと思います。もし失敗してしまった場合には、まず患者さんや関係者に誠実に謝罪し、その原因を明確にし、再発防止策を講じます。そして、チーム全体で共有することで、同じミスを繰り返さない環境を作ります。」
面接官:「『絆』についてですが、患者さんとの信頼関係が築けない、あるいは信頼を失うような場面が起きた場合、どう対応しますか?」
受験生:「信頼関係を築くことが難しい場合は、まず患者さんの背景や価値観を理解するために、時間をかけて話を聞くことが大切だと思います。仮に信頼を失った場合でも、誠実さを持って対応し、患者さんが納得できる形で状況を説明することが重要です。信頼を回復するには、言葉だけでなく、行動を通じて誠意を示す必要があると考えます。」
面接官:「『希望』と『命』という選択は感動的ですが、例えば終末期医療の現場では、『希望』を見つけることが難しい場合もあります。その場合、医師として何をすべきだと思いますか?」
受験生:「終末期医療では、患者さん本人が何を望んでいるのかを十分に理解することが重要だと思います。たとえ治療で完全に病気を治せなくても、痛みを軽減するケアや、残された時間をより質の高いものにするサポートが希望に繋がると思います。希望は人によって異なる形を取るため、その人の価値観に寄り添う姿勢が求められると考えます。」
面接官:「『感謝』と『誠』は、どちらも他者との関係を意識した言葉ですね。医療現場では、医師同士や他の職種の方と意見が衝突することもありますが、そのような状況で感謝や誠実さをどのように発揮しますか?」
受験生:「意見が衝突する場面では、まず相手の考えを尊重し、冷静に耳を傾けることが大事だと思います。その上で、自分の意見を感情的にならずに伝え、共通のゴールを見つけるよう努めます。また、結果的に自分の意見が採用されなかった場合でも、相手の提案を感謝の気持ちで受け入れ、それが患者さんにとって最善かどうかを見極める姿勢を持ちたいと考えます。」
面接官:「最後に、6つの言葉を総合して、あなたが将来医師としてどんな存在になりたいかを一言でまとめるとしたら何ですか?」
受験生:「患者さんやそのご家族、そして医療チーム全体との信頼を築き、挑戦する姿勢を持ちながら、感謝と誠実さを忘れずに希望を与えられる医師になりたいです。」
※「やりとり」を読みながら、授業で繰り返し取り上げてきた「マトリクス」を思い浮かべたアナタは正解です!深掘りバージョンは医療に寄せているために、「知識が問われている」と誤解した人がいるかもしれません。それは間違いです。問われているのは「マトリクス」に表象された論理的思考力なのです。以下に証拠を示します。ねっ😊
